データと情熱のバ乙

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データと情熱のバ乙

バ乙の不確実な鼓動

ロンドンの自宅で午前1時30分、リアルタイムでブラジル・サッカーのデータを追っている。xG(期待得点)に魅了されるわけではない。むしろ、その数字が捉えきれない『人間の努力』という脈動に惹かれるからだ。

第12節はまさにそれだった——統計ではなく物語が生まれた一週間。20チームが昇格と生き残りをかけて戦うこのリーグは、プレッシャーの中でアイデンティティが形作られる舞台だ。

数字と意味が出会うとき

36試合、5週間にわたる展開。平均1試合引き分け。しかしモデルが予想できなかったのは……

  • ヴィーラ・ノヴァが前戦で3ゴールを記録した後も5連敗するも、クリチウマ戦で完封勝利。
  • ブラガンチーノはポゼッションやパス精度(83%)では中位ながら、後半カウンターで勝利。
  • フェロヴィária対アトレチコ・ミネイロ戦はxGより低いにもかかわらず1対0勝利——データ上は異常値だが、サッカーとしては勝利だった。

計算できないドラマ

読んでいるのはベイズ推定やポアソン分布ではないだろう? あなたが求めているのは「ドラマ」だ。

  • ゴヤネシア対クリチウマ:支配的だったのに0対1敗退。
  • アマゾナスFC対バヒア:後半に2枚退場カード→決定的な瞬間は審判判断のみ。
  • グレミオ・バウエリ対コリチバ:追加時間のペナルティミス後に自傷ゴール——衝撃の一撃。

これらは奇行ではない。このリーグの魂そのものだ。データでは測れない瞬間こそ美しい——疲弊した選手が最後まで走り続けたとき、自信喪失した守備陣が立ち上がったとき、観客の声援があらゆる統計を飲み込んだとき。

ピッチを超えた意味

AIモデルで過去データと選手移動履歴から試合結果を予測してきた私だが……ここでの『文脈』の大切さには驚いた。 アヴァイは4連敗しながらも強豪相手に2試合ドロー。清掃されたシート数だけでは伝わらないのは、「崩壊時に身体を投げ出す選手たちの姿勢」だった。微細な動きさえ追えば熱地図に現れるかもしれないが……多くの人はそうしないだろう。 でも私たちは知っている——心臓が高鳴るのは、「94分過ぎてもボールに飛び込む選手」を見たときだから。

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